<2002年6月>
ニュース
 
 

2002年6月28日「JIL労働情報/No.220」
【統 計】
 ◆5月の完全失業率は前月から0.2ポイント上昇
総務省が28日発表した労働力調査(速報)によると、5月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.2ポイント上昇の5.4%となった。失業率が上昇したのは5カ月ぶり。完全失業者数は前年同月より27万人多い375万人と3カ月連続で370万人台だった。また就業者数は前年同月より117万人減少した。
  http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm
【行 政】
 ◆労働移動円滑化の重要性を指摘?2002年版通商白書
経済産業省は25日の閣議に2002年版通商白書を提出し、了承された。グローバリゼーションが進展する中で、持続的成長をしていくためには産業構造を高度化させていく必要があると指摘。このために重要なポイントとして、「産業間で労働者の移動をいかに円滑に行うか」という点をあげている。
  http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002895/
【労 使】
 ◆パートの組織化には正社員の意識改革を?連合パートシンポ
日本労働組合総連合会は14日、パートの組織化をめざす「6.14パートシンポジウム」を開催した。5,600万人の雇用労働者のうちパート、派遣、フリーターが1,600万人となったことから、雇用の基本は「期間の定めのない雇用」とし、パート等の差別を禁止することなどを盛り込んだ「パート・有期契約労働法」制定への取り組みを行う。また、パートの組織化に関しては、正社員の意識改革が必要と訴えた。
  http://www.jil.go.jp/mm/cl/20020628/20020628.html

2002年6月26日「JIL労働情報/No.219」
【報 告】
◆長期雇用、年功賃金は日本固有といえない?財務省研究会
財務省財務総合政策研究所は25日、日本型経済システムの果たしてきた役割やその利点、限界を明らかにし、そのあり方について検討した「日本型経済システム:再訪」研究会の報告書を公表した。このなかで、日本型雇用慣行に関し、長期雇用、年功賃金は国際比較の結果、日本固有のシステムとはいえないとし、90年代以降システムのデメリットが顕在化していると指摘している。
 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk056.htm
◆社内人材公募制導入企業は3.4%?厚労省
厚生労働省はこのほど平成14年雇用管理調査の結果を公表した。これによると、人事管理の各種制度のうち、総合職と一般職など複数のコースに分けて人事管理を行う「複線型人事管理制度」を導入している企業は11.8%、能力開発や異動の希望を会社に申告させる「自己申告制度」は16.2%、社内から特定の職務に社内から人材を募集する「社内人材公募制度」は3.4%となっている。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/kanri/kanri02/index.html

2002年6月25日「連合通信・隔日版」No.7279
・早まる採用活動/6割の企業が5月内定
 学生援護会が二〇〇三年三月卒業予定者に対する企業の採用活動を調査したところ、
採用の動きが早まっていることがわかった。
 今春、全国五百四十七社から回答を得た。採用セミナーの開催を早めたと答えたのは前年比一〇・七ポイント増の三七・五%。全体の三分の一が二月に開催した。 (中略) 中小企業が大手にならって時期を前倒ししたものと見られる。
 内定を出す時期も前年比九ポイント増の二九%が早めて、五月までには五七・六%の企業が出した。

・「協同組合の促進」勧告を採択/ILOの年次総会が閉会/
 スイスのジュネーブで開かれていたILO(国際労働機関)の年次総会が、六月二十日に終了した。日本では公務の労働基本権問題が注目されたが、十七日間の総会全容はあまり報道されていない。総会のポイントを紹介する。
 〈ILOとは〉 ILOは政府と労働者、経営者の三者代表で構成される国際組織で、百七十五カ国が参加している。労働にかかわる国際基準を定め、それが各国で守られるよう監視する役割を担っている。最近では、経済のグローバル化が雇用や労働条件にマイナスの影響を与えている問題を重視。特に、@団結権と交渉権の承認、A強制労働の禁止、B児童労働の廃止、C差別の撤廃、という四つの基本的な権利の保障を強調し、ディーセントワーク(適切で価値ある労働)の実現をめざしている。
 〈協同組合〉 総会では「協同組合の促進」に関する勧告が採択された。発展途上国に適用を限定していた一九六六年の勧告に替え、すべての国に対して協同組合を促進するよう求め、雇用創出や社会福祉の向上につなげることとした。「自助・自己責任・民主・平等・公正及び連帯」という協同組合の価値を積極的に評価し、各国政府が支援政策と法的枠組みを定めて、それを実施すべきだとしている。(後略)

・賃金システム労使攻防/労働歳時記
○ 今後の賃金システムをめぐって、労使に新たな動きがみえはじめた。経営側では、日経連(現・日本経団連)が新たに職務群を中心とする「多立型賃金体系」を提起した。他方、労働側も仕事を機軸とする横断的職種別賃金を追求している。(中略)
○ 経営側は新たな賃金システムとして「成果主義時代の賃金システムのあり方─多立型賃金体系に向けて」をまとめた。グローバル化に伴う「大競争・不安定成長時代」の賃金制度として「年功賃金から成果・貢献度反映型賃金」などを掲げている。新機軸は「一律型から多立型賃金管理」の提起である。職務群別に@「定型的職務群」(組立など=職務給と習熟給)A「非定型的職務群」(研究開発など=職能給と成果給)などを想定している。
 ○ 問題は制度の運用である。「少ない原資」のなかで「高止まり賃金の適正配分」を理由に、「春季交渉でベースダウンも」「定昇は定期昇降給へ」など、春闘で賃下げに踏み込むシステムとなっている。半面、「多立型賃金体系」は、経営側がこれまで改廃・修正してきた職務給と職能給を組み合わせたものであり、矛盾をもった賃金体系であることを見すえておくことも必要だろう。
 ○ 労働界でも今後の賃金体系として、電機連合が職種別横断賃金へ向け、機械加工、SEなど十一職種をモデルに、トライアル賃金調査を開始した。自動車総連や全国労組生産性会議も「最低生活保障のミニマム基準の確立と底上げをはかりつつ、仕事基準の横断的評価基準や賃率形成への志向」を提起している。 
 ○ 職務群や職種を軸に置いた労使の賃金システム攻防。内外部労働市場の変化を踏まえ、職種別労働市場の拡大と横断的賃率形成の挑戦を注目したい。


2002年6月22日付「連合通信・隔日版」No.7278
・ニュース抄録/1割が協約適用なし/パート組合員
 厚生労働省が六月十九日に発表した「労働協約等実態調査」によると、パート労働者が労働組合に加入していても、労働協約が適用されていない例が一割近くあることがわかった。組合員三十人以上の三千百七十四労組を対象に昨年七月、調査した。
 労使間で労働協約を結んでいる労組は九一・五%で前回調査(一九九六年)より二・三ポイント増加した。「職場にパート労働者がいる」は七一・二%で同五・三ポイント増加し、「組合員にパートがいる」は一四%で前回とほぼ同じ。「労働協約がパートに適用される」は八〇・三%で同六・五ポイント増えたが、「パートには全く適用されない」が九・四%あった。
・どこでも誰でも時給千円以上に/公契約問題でも要請
 国民春闘共闘と全労連は六月二十日、「どこでも誰でも時給千円以上に 低すぎると思いませんか? あなたの時給」のスローガンを掲げて第三回最低賃金デーを全国で実施した。東京では厚生労働省前で座り込みと昼休み集会を行った。
 七月二十六日に中央最低賃金審議会で最賃の引き上げ目安が示される。集会参加者は「最賃が生活保護基準より低いことに納得がいかない」「パートの賃金は半人前なのに、税金は一人前」「企業側は正社員の給与基準をパート最賃並みへの引き下げを狙っている」など、パート労働者が最賃ぎりぎりで働かされている実態を訴えた。
 春闘共闘の国分武事務局次長は全国一律最賃制確立とあわせて現行水準の引き上げをめざすために、現行地域別最賃の改善と大幅引き上げ、最賃額が生活保護基準よりも低い問題の是正、時間給のみの最賃額表示への変更に反対、公契約・リビングウェイジ・公正発注にかかわる要求など、署名・宣伝活動を柱に闘い抜くと発言した。
 春闘共闘と全労連は今回初めて総務省に対して公契約の問題を申し入れた。「国および自治体が発注・関与する各種事業については、適正な単価・賃金・労働条件が確保できるようにすること」としたうえで、@受注先との契約にあたって労務費明細を明示させることA入札に際しては価格偏重をやめ適正な経費を含む最低制限価格制度を採用することなどを求めている。(後略)

2002年6月21日「JIL労働情報」No.218
【行 政】
◆女性の参画状況、地域や分野でばらつき?男女共同参画白書
政府は18日の閣議で、平成13年度の男女共同参画白書(男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告)を決定した。30代女性の労働力率は地方圏で高く、大都市圏で低いなど、女性の参画状況は、地域や分野ごとにばらつきがみられることなどを指摘している。
  http://www.gender.go.jp/whitepaper/h14/index.html

【報 告】
◆一時的な人の移動の自由化・円滑化が必要?日本経団連
日本経済団体連合会は18日、諸外国のみならず、わが国に対しても同様の一時的な人の移動の自由化・円滑化を求める「WTOサービス自由化交渉 人の移動に関する提言」を公表した。このなかで、国境を越えた企業内移動や高度な技術・専門知識を有する人材の契約ベースの移動の促進への期待を表明している。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/036/index.htm

◇「人材獲得競争の時代?APECにおける中小企業の人材確保?」ジェトロインターネット放送局
 http://www.jetro.go.jp/cstv/internet.html#feature

2002年6月20日「連合通信・隔日版」No.7277
・リストラで士気低下/日本労働研究機構調査
 リストラを実施した企業の半数で従業員の士気が低下している。(中略)日本労働研究機構が六月十七日に発表した「事業再構築と雇用に関する調査」でわかった。
 最近三年間に人員削減をした企業は一七・五%で、「実施中」二五・四%、「今後実施」九・〇%と合計で半数以上を占めた。リストラの影響で「従業員の士気が低下した」と答えた企業は五一・五%、労働時間の増加」四五・八%、「優秀な人材の流出」三三・〇%だった。希望・早期退職優遇制度や解雇を実施した企業で士気低下や優秀な人材の流出が目立つ。

・方針書に「組織化」明記を/連合がパートシンポジウム/高島屋では全パートが加入
 連合がパート労働者の組織化に力を入れはじめた。二月の集会に続き、六月十四日には東京でパートシンポジウムを開催、四千人の対象者全員の加入を実現した高島屋労組など五組合の事例を報告し、取り組み促進を訴えた。連合の高橋均組織拡大センター総合局長は「社会正義に敏感な労働運動を取り戻そう。組合の方針にまずパートの組織化と均等待遇実現を掲げてほしい」と訴えた。
 高島屋労組は組織化にどう取り組んだのか。
●不満を吸収して全員加入を実現/高島屋労組
 高島屋では一九八〇年代からパート社員が増え、九二年以降、本格的な組織化の議論を開始した。高島屋労組(サービス・流通連合加盟)の中央執行委員でオルガナイザーの小澤明子さんは「社員だけの組合では従業員代表とはいえなくなり、社員労組から従業員労組へ組織運営を正常化する必要があった」とその背景について語っている。
 九四年には、労働時間の長短に関係なく「パート社員全員を組織化する」との方針を決め、翌年にはユニオンショップ制で四千人の加入手続きを行った。
●差別是正を重視
 会社に対しては「パート社員の組織化で生産性が向上することを強くアピールした」という。差別されていることで不満ややる気の喪失があるとすれば、それを組織化によって打開しようという主張である。労組が懇談会を開いてパート社員の声を吸収したところ、差別への強い不満が訴えられた。社員とパートでは名札の線の色が分けられていて、だれがパートかが一目りょう然だった。頼みごとがある時に「パートじゃだめだな」といわれては士気が低下して当然だ。名札を統一し、「パートさん」の呼称も改めた。全員加入はこうした改善を積み重ねた結果といえる。
 組合加入によって、慶弔休暇などの制度も社員並みに制度化され、労働条件面では「社員の賃上げを見送ってもパート労働者・契約社員の労働条件を上げるようにした」。今春闘では時給五円増を獲得し、均等待遇の問題が議論のそ上に載るまでになってきた。(後略)

・パートの組合加入へ/連合が事例集を発行
 連合はこのほど、「パート組織化事例集」を発行した。松下電器や伊勢丹など十九単組と三つの地域ユニオンの取り組み事例を紹介しており、構成組織・単組などの参考にしてほしいと呼びかけている。
 昨年十月の連合大会では「組合づくり・アクションプラン 」の方針が決定され、組織化の柱の一つとして「あらゆる分野でパート労働者の組織率を飛躍的に向上させる」ことを重視している。ただ、現実にはゼンセン同盟やサービス・流通連合、自治労(臨時・非常勤)などを除き、まだこれからという組合が多い。(中略)連絡は連合の組織拡大センターまで。03(5295)0512

2002年6月19日「JIL労働情報」No.217
【報 告】
◆企業の約半数が人員削減を伴う事業再構築を実施?JIL
日本労働研究機構はこのほど、「事業再構築と雇用に関する調査」の結果をとりまとめた。「国内競争の激化」「市場の成熟化、需要不振」を事業再構築の背景とする企業がそれぞれ7割を超え、サービス業以外では人員削減を伴う事業再構築を実施した企業が半数以上であった。人員削減の大半は「経営上の困難」がその理由で、戦略的な人員削減は少数となっている。
  http://www.jil.go.jp/statis/doko/saiko/saiko.htm

◆中高年の就職難解決には、在職中の就職支援が必要?東商
東京商工会議所は11日、労働政策に関するアンケート調査の結果を発表した。それによると、中高年労働者の再就職を支援するのに必要な政策は、「在職中の就職活動への助成措置等の拡充」とする企業が45.5%で最も多く、次いで「アウトプレースメント活用等への助成措置」(38.0%)が多かった。
  http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/chosa/140611-01.html

2002年6月18日「連合通信・隔日版」No.7276
・強まる働き過ぎ・ストレス/過労死・過労自殺一一〇番
 「過労死・過労自殺一一〇番」が六月十五日、全国二十八カ所で取り組まれ、合わせて二百二十四件の相談が寄せられた。過労死弁護団全国連絡会議などが実施した。三十歳代を中心として、倒れたり亡くなったりしたケース(労災補償事案)の割合が例年以上に高いのが特徴で、同連絡会議は「肉体的にもまだ頑健な世代にも堪え難いほどの過労・ストレスが強まっている」と語っている。
 相談では「労災補償相談(死亡または療養)」が百八件と最も多く、「過労死予防・働きすぎ相談」は九十一件だった。「労災補償相談」の内容では、「脳・心臓疾患相談」五十八件、「自殺相談」三十六件、「自殺以外の精神疾患相談」六件などの順となった。
 脳・心臓疾患にかかわっては「『リストラの中でもお前は必要だ』と言われ、深夜三時ごろまで働くような生活の末に突然死」(心筋梗塞、製造中間管理職、 代)、「過去健康診断で異常がなかったが、亡くなる前は顔色が悪かった。仕事上の責任が重かった」(心臓死、製造、中間管理職、 代)、「商社の営業職で長時間労働・サービス残業が続き、車の中で倒れていた」(脳梗塞、商社、中間管理職、 代)などの事例が相次いだ。
 自殺・精神障害の問題では「『自分だけ土日出勤で事務処理をさせられた。疲れた』と言い残して自殺」(製造、一般事務、 代)、「深夜勤務、会社への泊り込み勤務が続き、『三連泊して考えがまとまらずふらふらする』というメモを残している。上司からの暴言もあった」(通信、技術職、 代)など相談があった。「うつ病で入院中に解雇されそうになっている」(外食産業)という実情も相談された。

・雇用アンケート調査/経営良好でも雇用調整策/連合山形調査報告
 連合山形はこのほど、今年二月に実施した「雇用アンケート」の結果をまとめた。回答したのは、民間八十四労組(製造業三十四、非製造業四十五、不明五)。同アンケートは三年前に次いで二度目だが、「不況による経営悪化」を理由にした雇用調整は前回より強まり全体の四六%(三十九件)を数えている。具体的には、希望退職の募集やパート・アルバイトの打ち切り、賃金削減策が企業規模の大小を問わず強められ、経営良好な企業でさえ「便乗的な雇用調整」が見られるとしている。(中略)。
○目立つ「入れ替え」
 前回以降、三年間の従業員数の変化をみると、正規従業員では「大幅に増加」と「やや増加」を合わせてもわずか六%(六件)。逆に、「やや減少」(三十五件)と「大幅に減少」(十九件)は全体の六三%(五十四件)を数えている。一方、パート・派遣労働者は「大幅増加」「やや増加」が約三〇%(二十五件)を数え、「大幅に減少」「やや減少」を合わせた一九%(十六件)を上回る。
 この結果について調査報告は、「アンケート全体では正規従業員が減少」する一方で、「パート・派遣労働者の増加」が見られると指摘。特徴的なのは、正規従業員を減少させた五十企業のうち、十七企業がパート・派遣労働者を増加させていることで、三年前の調査より「正規従業員とパート・派遣労働者の入れ替えが明らかに増加している」としている。
○便乗の希望退職募集
 過去一年間の雇用調整策では、新規採用の抑制をはじめ残業規制、社内応援、賃金削減が四分の一以上の企業で実施されている。また希望退職の募集は十四企業が実施。この募集を経営状況に対比すると、「大幅赤字企業」で七社を数えるものの、「収支トントン」「黒字経営」の企業でもそれぞれ四社と三社が実施していることから、調査報告では「不況に便乗した希望退職募集も存在する」と指摘している。
 希望退職に代表される雇用調整と賃金削減の二項目を企業規模別にみると、前回調査では百人未満の企業に限定されていたものが企業規模に関係なく拡大。このうち希望退職では、九十九人未満の企業の四件に対し、百人から千人以上の企業では九件を数えている。
○組合のチェック機能を
 こうした結果から調査報告は、組合の留意点や今後の雇用政策要求への示唆に言及。まず、不況に便乗した雇用調整に対する経営チェックとともに、正規従業員からパート・派遣労働者など非正規型雇用への切り換えについて、組合は「これを許さず代案を提示していくことが重要」と強調している。
 また、企業経営の面から人員を削減したものの、反面、企業活動を維持する上では、これ以上の人員削減が困難になっている現状にあると指摘。しかし、企業は経営の赤字体質を脱皮する狙いから、さらに人件費削減策に出ていると述べ、安易な人件費削減策へのチェックのほか、緊急型のワークシェアリングについても「やむなく賃金が削減される場合でも、将来展望を明確にさせるなどの措置を」と提言している。
 一方、雇用政策面では、各企業が利用する雇用調整助成金や商工業振興資金など、行政施策の利用率の低下を指摘。より現実に適した政策の展開を国、県、市町村レベルで充実させる必要を説くとともに、新卒予定者だけでなく離職者についても「例えばインターン制度」などの活用も考えられると述べている。

2002年6月15日「連合通信・隔日版」No.7275
・夏の一時金減った!/日本経団連集計
 日本経済団体連合会(日本経団連)が六月十三日に発表した二〇〇二年夏季賞与・一時金の妥結額は、前年同期比一・五%減の七十四万四千八百四十円(回答大手企業百六十八社、組合員一人当たりの加重平均、中間集計)となった。電機や鉄鋼などの落ち込みが影響し二年ぶりのマイナス。
 自動車の七・五%増などを除き、電機の一三・八%減、鉄鋼一二・九%減などマイナスが並んだ。製造業(百五十三社)は一・四%減の七十三万八千二十八円、非製造業(十五社)では一・八%減の七十七万九千八百六十九円。

2002年6月14日「JIL労働情報」No.216
【統 計】
◆能力開発は「企業の責任」?平成13年度能力開発基本調査
厚生労働省は11日、「平成13年度能力開発基本調査」の結果をとりまとめた。能力開発主体を、「従業員個人の責任」ではなく「企業の責任」とする企業が75.6%と高く、OFF-JTを実施した企業は64.9%となっている。また、「全体的な底上げ教育」を重視している企業が56.6%に対し、コア人材の「選抜教育」を重視する企業が39.1%となっているが、大きな企業ほど、「選抜教育」を今後重視する傾向があるとしている。
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/06/h0611-3.html

【行 政】
◆求められる職業能力が高度化、多様化?平成13年度ものづくり白書
政府は11日の閣議で「平成13年度ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告(ものづくり白書)」を了承した。ものづくり労働をめぐる課題について、(1)製品の高付加価値化に対応できる人材の育成と高度熟練技能の継承、(2)求められる能力の高度化、多様化に対応した職業能力の開発、向上、などをあげている。
  http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002797/

◆「中間形態」の働き方の創出を?厚労省研究会報告
厚生労働省の「多様で柔軟な働き方を選択できる雇用システムのあり方に関する研究会」は12日、安定した雇用、高い処遇の反面、拘束度が高い「正社員」とそうではない「非正社員」とに働き方が二極化している現状を改め、両者の働き方の中間的な形態をつくる必要があるとする報告書をまとめた。拘束度や雇用保障、賃金・昇進の柔軟な組み合わせによる正社員の働き方の多様化と、非正社員の処遇改善が課題だとしている。
  http://www.jil.go.jp/mm/siryo/20020614.html

【報 告】
◆配偶者控除のあり方と少子化・子育て対策?日本総研
日本総研は10日、「配偶者控除のあり方と少子化・子育て対策」と題する提言を発表した。現行制度は、世帯所得が高いほど減税効果が大きい、世帯所得が同じでも妻の就業の有無や収入により税負担や保険料に格差が生じる、世帯所得が低いと控除等の制度を利用する余裕がないなどの問題をあげ、低所得層に配慮した新たな制度を策定しつつ控除等の現行制度を廃止し、控除撤廃による税収増分を少子化・子育て対策にあてるべきと提言している。
  http://www.jri.co.jp/contents/press/report/jri-press020610.pdf

◆雇用延長への対応には賃金制度の見直しで?東京経営者協会
東京経営者協会の「人事・賃金委員会」は13日、雇用延長への対応には、60歳定年に至るまでの賃金水準や賃金制度を見直す必要があるとする報告を発表した。「法的な留意点」として、再雇用者の選任基準の明確化と厳格な運用の必要性を指摘したほか、雇用延長に伴い、定年前の賃金水準や制度見直しによる不利益変更が生じる場合の基本的な考え方を整理している。
  http://www.nikkeiren.or.jp/tokyo/20020613.htm

2002年6月13日「連合通信・隔日版」No.7274
・4割が自己啓発はムリ/厚労省の能力開発調査
 厚生労働省が六月十一日に発表した初の能力開発基本調査結果によると、労働者の四割以上が自己啓発などの教育訓練講座は忙しくて受けられないと思っているという。六割の企業が従業員に対し自己啓発のための援助を行っていた。
 調査は昨年末、一万社の三万人を対象に実施。自己啓発の問題点は「忙しくて余裕がない」が四三・〇%で最も多く、「費用がかかりすぎる」二五・九%、「休暇取得・早退などが会社都合でできない」一八・三%。自己啓発に参加したのは三七・三%で、企業規模別では三百人以上で五三・五%、三十人未満で三一・〇%と、規模が小さいほど参加者は少なくなる傾向だ。

・すべての請負業務に対象を拡大/自治体の最低制限価格制度/ダンピング契約防止へ
 自治体は清掃や警備など少なくない業務を民間に委託しているが、近年、まともな賃金も払えないような料金での契約が横行。ダンピング入札が社会問題になっている。そんな折、ダンピング防止に役立つ制度改善が行われた。今年三月二十五日に施行された地方自治法施行令の改正で、これまでは公共工事などに限定されていた「最低制限価格制度」の対象が、すべての請負業務に広げられたのである。請負業務での公正な賃金確保をめざすうえで、活用できる改善といえる。
 最低制限価格制度は、地方自治法の施行令(第百六十七条)に定めがある。入札をする時に、あらかじめ「これ以下の価格では落札できない」という水準を決めておく仕組み。これまでは「工事又は製造」の請負契約が対象になっていた。(中略)
 施行令が改正された直接のきっかけは、昨年十一月、自治体の文書管理システム(コンピューターソフト)の安値落札について公正取引委員会が独占禁止法違反(不当廉売)に当たるおそれがあるとの警告を初めてだしたこと。コンピューター関係に限らず、労働集約的な請負業務でダンピングが進めば「契約内容の適正な履行が確保されないおそれも高くなるものと思われる」(総務省自治行政局行政課)との問題意識が広がったためである。
 現在、自治体や建設関係の労働組合の間で、公正な賃金が保障できるような契約ルールの必要性が訴えられている。施行令改正はその一歩になりうるし、公契約における労働条項を定めたILO九四号条約(日本は未批准)批准の条件整備にもなる。

2002年6月12日「JIL労働情報」No.215
【労 使】
◆個人加盟組織「出版情報関連ユニオン」6月15日結成
日本出版労働組合連合会は、契約社員・パート・中間管理職など、出版メディア業界で企業別組合の外におかれてきた労働者を対象にした個人加盟組織「出版情報関連ユニオン」を15日に結成し、設立大会を開催する。(1)雇用を守る、(2)賃金・労働条件の社会的・産業的ベースをつくる、(3)出版・メディア関連の産業課題にとりくむ、(4)ネットワークづくりと職能向上を運動方針として掲げたいとしている。
  http://www.ne.jp/asahi/jfpw/unions/imu/imu.html

【報 告】
◆政府に雇用対策を要望?全国中小企業団体中央会
全国中小企業団体中央会はこのほど開いた通常総会で、雇用対策の充実、強化を求める決議(中小企業対策に関する要望)を採択した。(1)裁量労働制について、中小企業も活用できるよう要件の緩和を図る、(2)労働者派遣法について、27の専門業務以外も派遣期間を1年から3年に延長するとともに、「物の製造」業務に係る派遣の凍結措置を解除する、などを要望している。
http://www.chuokai.or.jp/youbou/a02.htm

2002年6月11日「連合通信・隔日版」No.7273
・次代労組リーダー/労働歳時記
 次代のユニオンリーダーは労働者構成の変化を反映して、重点課題や活動スタイルも様変わりをみせている。とりわけ、組合活動では仲間意識の希薄化を経験しつつ、今後、仕事と家庭の両立支援制度の充実などを重視する声が強い。
 次期リーダーの調査は、五─十年後の組合活動の中心を担う四十四歳以下の単組・支部の役員を対象に設定。連合の官民十九単産二千百八十九人のアンケートを労働調査協議会が六月にまとめた。プロフィールは、男性が九割を占め、平均年齢は三十三・六歳、女性は一割で三十・四歳。組合経験年数は四・一年。職種は非現業系が四分の三を占め、役員のホワイトカラー化を示した。    
 組合役員になった理由は「情報が広がり視野が開ける」(五八%)、「ことわる理由がなかった」(四九%)と消極的である。「労働条件を改善したい」は一六%にすぎない。組合活動の充実感も分散的であり、継続意思も分散気味。「世のため、人のためは少ない」と報告されている。
 組合活動で経験していることも深刻だ。「若い層の組合無関心」(七七%)、「中高年層の組合不信の増加」(六六%)、「職場で仲間意識の希薄化」(六五%)、「役員が魅力あるキャリアでなくなる」(五八%)などである。報告は、「職場における組合の活動基盤が弱体化している」と警鐘を鳴らしている。
 今後の組合活動で必要性が高まる課題は「職場と家庭の両立支援制度充実」(八四%)、「国民から信頼される組合となる」(六八%)など、企業中心ではない。一方、「組織拡大の促進」(四五%)、「提案によってはスト」(四一%)は半数にも満たない。 次代のユニオンリーダーは、職場で組合弱体化を経験しつつ、国民に支持される運動を重視している。(後略)

2002年6月7日「経済産業省発表資料」
休暇制度のあり方と経済社会への影響に関する調査研究委員会報告書(休暇改革は 「コロンブスの卵」?12兆円の経済波及効果と150万人の雇用創出)について

本件の概要:年次有給休暇が完全取得されることが経済社会へ及ぼす様々な効果や、休暇の取得率を向上させるための具体的な施策について検討するため、経済産業省は国土交通省・財団法人自由時間デザイン協会と協同で、「休暇制度のあり方と経済社会への影響に関する調査研究委員会」を設置した。今回その報告書として「休暇改革は「コロンブスの卵」?12兆円の経済波及効果と150万人の雇用創出?」を取りまとめ、公表する。
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002802/

2002年6月7日「JIL労働情報/No.214」より
【統 計】
 ◆15年新規学卒採用、全学歴で14年より減少?労働経済動向調査
   厚生労働省がこのほど公表した労働経済動向調査によると、すべての学歴で、15年新規学卒者の採用計画は14年と比べ「減少」とする事業者割合が「増加」とする事業所割合を上回った。「減少」の理由は「人件費比率の抑制・定員管理の見直し」が最も多く、「増加」の理由は「年齢等人員構成の適正化」や「技術革新への対応・研究開発の充実」が多かった。
  http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0205/kdindex.html

2002年6月6日「連合通信・隔日版」No.7271より
・「雇用春闘はほぼ成功」/鉄鋼労連の総括討論集会/
  鉄鋼労連は六月三、四の両日、静岡県で今春闘を総括するための中央討論集会を開いた。荻野武士委員長は「鉄鋼の『雇用春闘』はほぼ成功した」との見方を示すとともに、国際競争力とデフレを理由とした経営側のベア不要論に対し「労働界は骨太な経済政策を打ち立て、対じしなければならない」と訴えた。
  複数年協定の第三ラウンドとなる今春闘で、鉄鋼労連は向こう二年間のベア要求を見送り、雇用安定協定の締結を柱とする「雇用春闘」に取り組んだ。協定は、企業基盤の強化などを通じ「雇用の場の維持・確保に向け最大限の努力を傾注する」ことを労使で確認、署名・捺印して締結するもの。労使の議事録確認を含め、七割の組合がなんらかの結論に至った。
  荻野委員長は「雇用春闘にまじめに取り組み、実践した産別は鉄鋼しかない。労働運動史上に残る事柄」と胸を張った。一方で、鉄鋼の雇用春闘が世間で評価されていないのはなぜかと問いかけ、「連合全体で十分な成果を出せなかったのが要因」と述べた。
  トヨタのベアゼロの意味については「国際競争力の堅持とデフレの下で、賃上げをストップしたいというのが基本スタンス」「労働側は生産性上昇率や支払い能力論だけで対じできるかどうか疑問」と指摘。骨太な経済政策と運動で賃上げを進めるドイツのIGメタル(金属産業労組)の例を「真剣に考えなければならない」と強調した。
  JC共闘の役割にも言及し、「もはや賃上げの額を統一化することではない。苦労して(額を)合わせる必要はなく、産別が自立・自決の体制をどこまで整えられるかだ。JCにはものづくり産業崩壊に対する政策対置などが求められる」との考えを明らかにした。              (中 略)
  兼子昌一郎書記長は、ユーザーに価格決定権を握られている現状の「いびつな産業間構造」を問題視。秋口にヤマ場を迎える自動車メーカーとの鋼材価格交渉に対し「日産もトヨタも一層の値下げ計画を持っているようだが、そういう逆提案を払いのけて値上げ要求を通す必要がある。経営側にエールを送り、しりをたたきたい」と述べた。
 政労使が三月に合意したワークシェアリングの問題では「緊急避難的な施策は短期の収益改善施策でありワークシェアリングと区別すべき」との立場を改めて確認、兼子書記長も「それをワークシェアリングとゴチャゴチャにして議論すべきでない」と述べた。

・欧州労働レポート/〈ドイツ建設労働者の奮闘〉賃上げと公契約法実現へスト/
ヨーロッパ特派員 欧野 雅知
  ドイツの「 春闘」は、金属、印刷などでの3?4%賃上げ獲得に続いて、建設労働者が賃上げと公契約法実現をめざすスト権投票に入り、大きな山場を迎えている。
●国会へ2万人デモ
  五月三十一日の晴天下、首都ベルリンの中心ポツダム広場は、建設・農業・環境労組とヴェルディ(合同サービス産業労働組合)の呼びかけで全国から集まった二万人を超える労働組合員たちで埋まった。このデモ・集会には、折からベルリンで開催中のDGB(ドイツ労働組合同盟)大会の代議員たちも加わった。この日の行動は同日行われる連邦参議院での表決で、公契約法(労働協約順守法)を否決しようとしている参議院多数派の野党キリスト教民主・社会同盟(CDU=CSU)と自民党(FDP)を包囲し、同法成立への妨害をやめさせるためのものだった。
  集会で演説に立ったヴェルディのビルスケ委員長はドイツの建設現場、路線バスの運転でルーマニアやポーランドからきた労働者が時給二ユーロ(約二百三十?二百四十円)で働かされている事実をあげて、「賃金ダンピングをやめろ!」と訴えた。
  建設・農業・環境労組をはじめとしたドイツの労働組合は、ますます増大するヤミ労働(「不法」移民労働やニセ自営を含む違法な労働契約など)による労働条件破壊を防止する立法措置を求めてきた。その柱の一つが、国、地方自治体などが委託・発注する事業の受託者に、そこで適用されている労働協約順守などを義務づける法律・労働協約順守法(公契約法)である。昨年十二月、政府法案が閣議決定され、今年一月から審議開始。四月二十六日には連邦議会が可決し、この日の連邦参議院で可決されれば、成立するはずだった。もともと四月施行予定で提案された同法案だが、この間に連邦参議院の勢力関係が与野党逆転したために審議が遅れ、この日も法案はデモ隊が抗議する中、野党側の要求で両院協議会にもちこまれた。
●要求貫徹へ、スト闘争
  一方、並行的に進められてきた賃上げ(今年三月期限切れの賃金協約の更改)交渉の調停工作が六月一日、結局失敗に終わった。労働組合側の四・五%賃上げ要求に対して、経営者側は半年間ゼロ賃上げとなる九月からの三%賃上げなど、全体として一・七五%回答に固辞して譲らなかった。
  事態の打開のため、建設・農業・環境労組は三日の執行委員会でスト権確立投票の開始を決定。スト権が確立されれば中旬からスト決行の予定である。労組は全国ストを予定しており、実行されれば、東西ドイツへの分裂以降五十年ぶりの建設産業での全国ストとなる。九月投票の総選挙戦が事実上開始されている下での、公契約法実現と結合した賃上げ闘争は大きなヤマ場を迎えている。

2002年6月5日「JIL労働情報/No.213」より
【行 政】
 ◆経済活性化戦略を決定?経済財政諮問会議
   政府の経済財政諮問会議は3日、経済活性化戦略をとりまとめた。雇用労働に関する分野では、(1)派遣労働の対象範囲拡大など労働制度を引き続き見直す、(2)解雇の基準やルールを立法で明示することを検討、(3)雇用保険3事業の抜本的合理化、(4)IT分野の人材育成、(5)大胆な事業再編・産業再編の促進、(6)医療・介護や子育て支援など生活産業の創出、などがあがっている。同会議が今月中に決める基本方針に盛り込む。
  http://www5.cao.go.jp/shimon/2002/0603/0603item4.pdf

◆15年度予算編成の考え方?財政制度等審議会
   財政制度等審議会・財政制度分科会は3日、「平成15年度予算編成の基本的考え方について」をとりまとめ財務相に提出した。雇用に関する分野では、労働者派遣業の抜本的規制緩和、有期労働契約における労働契約の期間制限の緩和などを早急に実施する必要があるとし、雇用保険制度について、自発的失業者への給付の大幅縮減、早期再就職を促進するために給付水準などについて見直が必要としている。
  http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseia140603a.pdf

【統 計】
 ◆所定外労働時間2カ月連続で増加?毎勤(4月)
   厚生労働省が3日公表した4月の毎月勤労統計調査(速報)によると、所定外労働時間は前年同月比2.5%減と14カ月連続の減少となったものの、季節調整値では2カ月連続で前月を上回った。また、きまって支給する給与は前年同月比1.3%減の28万1,589円となった。
  http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/14/1404p/mk1404p.html

【労 使】
  ◇2002年闘争評価と課題・中間まとめ?IMF‐JC
   http://www.imf-jc.or.jp/2002str/matome.html
  ◇2002年春季賃上げ調査速報(5月29日現在)?東京都
  http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/siryo/panfu/panfu21/chingin/no07/index.html


2002年6月4日「連合通信・隔日版」No.7270より
・ニュース抄録/女性管理職7・8%/厚労省調査
  厚生労働省がこのほどまとめた〇一年度の女性雇用管理基本調査によると、女性の管理職が職場に占める割合は全体で一割にも満たず、九九年の男女雇用機会均等法改正後も職場の男女差が依然残っていることがわかった。調査は昨年十月、三十人以上の常用雇用者がいる九千職場を対象に実施、六千七百十九職場から回答を得た。
  管理職に占める女性の割合は平均七・八%。コース別雇用管理制度を導入した職場が四・六%と低いのが目立つ。(中略)昇進に差がつく理由は「職種が違う」「女性の勤続年数が短い」が多かった。

・「ミニマム闘争」重視の春闘へ/JAMの中央委員会/「大手先行パターンは終焉」
 中堅中小金属メーカーの労組を組織するJAMは、五月三十─三十一日に静岡県で中央委員会を開き、二〇〇二年春闘の中間総括を行った。要求未提出やベアゼロの「賃上げ断念組合」が昨年の二倍に増えると推計され、今春闘は「最悪な結果」となっている。服部光朗会長は「これで春闘が終えん、崩壊したという論調はとんでもない。従来的な春闘スタイルが終えんしたのであり、今後はミニマム闘争に力点を移した新パターンの構築が必要だ」と訴えた。
  四月末時点の賃上げ集計では、加重平均の妥結額が五千百六十一円(一・七五%)で、前年より大幅なマイナス。雇用や労働条件切り下げの提案が急増したのも特徴で、五月末になっても「進ちょく状況は約六割」という厳しさである。服部会長は、(中略)「春闘とは労働組合という集団的な組織がその機能を発揮して社会的な規制を加える中で、社会性のある賃金を維持し確保するところに最大の意義がある」と述べ、春闘は不変の運動だと強調した。
一方で同会長は、大手労組が相場を決めて中堅・中小、そして地場に波及していくという「従来的な春闘のスタイルは終えんした」との判断を示した。自動車大手のベアゼロ決着などを念頭に「国際的な賃金水準のところは二、三年、賃上げをやめてもいいだろうが、中堅中小ではそうはいかない」として、安定的な低成長経済の下での春闘は「格差是正(圧縮)を重視したミニマム闘争に運動の力点を移した、新しいパターンの構築が必要」と訴えた。ミニマム闘争は、@連合としては産別を超越した(これ以下は認めないという)ナショナル・ミニマムAその水準に上乗せをはかる産別ミニマム?未組織労働者を念頭においた最賃闘争が考えられるという。
●退職金の保全措置を/もらえない事例が多発
  JAMは、希望退職募集や倒産・解雇が相次ぐなかで、規定通りの退職金が支払われていない事態を重視し、改めて「退職金の保全措置をしっかりしておく」よう呼びかけている。JAM傘下では、昨年十?十二月になんらかの雇用調整・合理化が起きたところが四百二十二件に急増、二〇〇二年一?三月は百八十件に減ったが「希望退職募集の件数はほぼ横ばい。春闘時の逆提案がこれから実施段階に入るので、改善したとはいえない」(小山正樹副書記長)という。
  民事再生法による倒産、希望退職募集のケースが多く、特に退職金をめぐり悲惨な事例が相次いでいる。(中略)退職金の外部保全が切実になってきている。外部保全の方法としては適格年金、厚生年金、中退金の三つが代表的だが、JAM傘下では約二二%がまったく保全していない。JAMは外部積立について、制度の有無や種類、運用状況を早急に確認するよう求め、特に中小の場合は「個人別に、確実に保全できる中退金への加入」を積極的に呼びかけている。

2002年6月1日「連合通信・隔日版」No,7269より
・ニュース抄録/教育訓練給付見直し/厚労省
  厚生労働省が「教育訓練給付」に対する見直しをはじめたと日本経済新聞が五月三十日付けが報じた。費用の八割を還付する現行給付率を四?六割に下げ、代わりに労働金庫の低利融資を活用して国が利子補給する案があるという。(中略)年間二十八万人がこの制度を活用しているが、趣味・教養に利用する人も多いと批判され、雇用保険財政が悪化してきたため見直される。今後、在職者には「自己再開発費用融資制度」(仮称)を設け、貸付金利の一部を国が負担する考え。離職者の給付率は配慮する。